最近、電話の呼び出し音を聞くとまたクレームかもしれない・・・とちょっと怖いんです。
電話が鳴るたびに、そんな不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
特に、相手が怒鳴り声だったり、長時間話を続けるようなケースでは、業務が止まり、精神的にも追い詰められてしまいます。
でも大丈夫です。クレーム電話には、正しい手順と対応のコツがあります。本記事では、どんな状況でも落ち着いて対応できるように、対応フローと実例さらにはAI電話を活用した最新の方法までを完全解説します。
なぜクレーム電話は怖いのか?
突然の怒鳴り声に焦ってしまう心理
クレーム電話が怖いのは、相手の怒りが「自分に向けられている」と感じてしまうからです。しかし実際には、多くのクレームは「サービスや状況」への不満であり、あなた個人に対して怒っているわけではありません。
人は突然大きな声を聞くと「闘争・逃走反応(Fight or Flight)」という防御反応を起こします。この状態になると冷静な判断ができなくなり、相手の言葉を正しく受け取れなくなります。つまり、「怖い」と感じるのは自然な反応なのです。
感情的なクレームと正当な指摘の違い
クレームには「建設的な意見」と「感情的な怒り」の2種類があります。前者はサービス改善につながる貴重な情報ですが、後者は解決よりも“発散”が目的のケースが多いです。
まずは「この人は何を求めているのか?」を冷静に見極めましょう。解決策を求めているのか、ただ気持ちを聞いてほしいのかによって対応は大きく変わります。
「悪質クレーム」が業務を妨げる現実
中には、正当な理由がないのに執拗に電話をしてくる「業務妨害型クレーム」もあります。何時間も同じ話を繰り返し、社員を疲弊させるケースも少なくありません。このような場合は、個人で抱え込まず、記録・共有・相談が大切です。
クレーム電話の基本対応フロー

クレーム対応の基本は「共感」から始まり「事実確認」「再発防止の意志」で終わります。
まずは落ち着いて話を聞く(遮らない・否定しない)
相手が怒っているときに最も大切なのは「最後まで聞くこと」です。途中で口を挟んだり、言い訳をしたりすると、火に油を注ぐことになります。
相槌(はい・そうなんですね)を入れながら、話を遮らずに聞くことが信頼回復の第一歩です。
感情ではなく“事実”を整理して伝える
話を一通り聞いたら、次にすべきは「事実の確認」です。「○月○日に」「○○の注文内容で」「担当は○○で」といった具体的情報を冷静に整理して伝えます。
感情的なやり取りを事実ベースに戻すことで、相手も冷静さを取り戻しやすくなります。
再発防止の意志を伝えることで怒りを和らげる
人は「自分の不満がちゃんと改善される」と感じた瞬間、怒りが静まります。
今後はこのようなことが起きないよう、社内で共有いたします。
この一言があるだけで、印象は大きく変わります。
すぐに使える!クレーム電話対応の実例フレーズ集
怒っているお客様への最初の一言
NG例:「お言葉ですが、その点については説明書に記載がございます。」
OK例:「ご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません。」
仮にお客様側に非があるような場合でも、最初の一言はお客様の気持ちを受け止めることが目的です。
理不尽な要求をされたときの対応例
顧客:「責任者を出せ!今すぐ返金しろ!」
対応例:「上司に確認のうえ、折り返しご連絡させていただきます。」
顧客に理不尽や要求をされたときは、このように一度会話をクールダウンさせることで、事態が悪化するのを防げます。
「上司に代われ」と言われたときのスマートな返し方
顧客:「上司に代われ」
対応例:「私が責任をもって対応させていただきますので、まずは詳細を伺ってもよろしいでしょうか?」
ただ言われたとおりに上司に代わっても問題が解決しないことが多いです。さらに、顧客にとって「何か言えばすぐ要求が通る会社」と思われ、クレームがエスカレートする可能性もあります。まずは電話を受けた私が責任をもって対応させていただきます、と誠意と責任感を伝えることが重要です。
長時間話を続けるお客様への丁寧な切り上げ方
顧客:「~~~長時間にわたるクレーム~~~」
対応例:「貴重なご意見をありがとうございます。本件は責任をもって社内共有いたしますので、このあとは確認のうえでご連絡させていただきます。」
なかなか会話を終了させるタイミングが難しいと思いますが、「感謝+後日対応」を明確に伝えることで、自然に会話を終了できます。
長時間の業務妨害クレームにどう対応すべきか
明らかに悪質な場合は“対応記録”を残す
内容・時間・発言を記録しておくことで、後から「事実確認」ができます。録音・メモを残すことは自分を守るための大切な手段です。
社内で共有・相談する体制を整える
「自分だけで抱え込まない」のが原則。クレーム対応は個人ではなく、組織として判断・対処することが重要です。
限度を超えた場合は“警察・専門窓口”に相談を
暴言・脅迫・業務妨害にあたる場合、警察や総務省の「消費者トラブル相談窓口」などに相談できます。毅然とした対応が、社員を守る第一歩になります。
クレーム対応で疲弊しないための心の持ち方
クレームは「自分個人への攻撃」ではない
多くの人が、「自分が怒られている」と感じてしまいます。でも本当は、相手は“状況に怒っている”だけ。「自分と問題を切り離す」意識を持つだけで、心の負担は大きく減ります。
「ありがとう」に変換する考え方
「こんな言い方しなくても…」と思うような内容でも、そこに改善のヒントが隠れています。「問題を見つけてくれてありがとう」と思えるようになると、仕事がずっと楽になります。
AI電話代行や一次対応システムを活用して負担を減らす

最近はAIによる一次対応システムも登場しています。AIが一次受付を行い、必要な場合のみ人間が対応する仕組みなら、ストレスの軽減につながります。
まとめ:冷静さと仕組みがあなたを守る
- クレーム対応のコツは「共感」「事実確認」「再発防止」
- 長時間のクレームには「記録」と「社内共有」が必須
- AI電話をを導入すれば、社員の精神的負担は大幅に減る
クレーム対応は「我慢」ではなく「戦略」です。正しい方法を知り、冷静に、そして誠実に。それが“業務を守る=自分を守る”最善の方法です。



